All or Nothing

ノジマ相模原ライズの憂鬱

#002 スタジアムから見えてくる課題

X1Superに所属するノジマ相模原ライズは、企業チームから生まれ変わった地域密着型のクラブチームだ。ゼネラルマネージャーを務める石井光暢氏が、運営サイドの裏側から見えてくるチームの課題やXリーグの未来像について語る。「All or Nothing」は、日本のアメリカンフットボール界が抱える課題の解決策に対して、新しい方法論を考えていく連載企画。

X1 Super屈指の好カードにもかかわらず、観客席はまばら

Xリーグの現在地

実業団とクラブチームが混在するXリーグには、X1Super(12)、X2Area(8)に計20チームが所属している。これはディビジョン1〜3で21チームからなるラグビー「リーグワン」に匹敵する規模だ。しかしながら、約10万の競技人口からなるラグビーに対し、アメフトは5分の1にあたる約1万5千から2万程度に過ぎない。さらにラグビーは自国開催のワールドカップ2019で、計170万4443人、1試合平均では3万7877人を動員するという実績を残した。これらを鑑みると、日本におけるアメフトの基盤は、まだまだ弱いと言わざるをえない。

スタジアムへのアクセス状況

Xリーグのメイン会場である富士通スタジアム川崎は、JR川崎駅から徒歩18分のところに位置する。かつてプロ野球チーム、高橋ユニオンズ、大洋ホエールズ、ロッテオリオンズが本拠地としてきた川崎球場の跡地は、「アメリカンフットボールのワールドカップ開催を目指す」をモットーに、川崎市が整備を進めてきたグランドだ。

しかしながら、かつての川崎球場がそうであったように、ここへのアクセスは決していいとは言えない。

プロ、アマの違いはあるにせよ、Xリーグ運営側のサポートによるシャトルバスの運行はない。スタジアムに併設される駐車場は、普通車237台、大型バス3台のスペース。試合当日はチーム関係者、リーグ運営者などでほぼ満車状態となり、近隣の時間貸しにも空車が見当たらない状況に陥る。

ちなみに日本のプロリーグにおける、おもなチームの球場アクセスは、
・読売ジャイアンツ(NPB) 東京ドーム 丸の内線より徒歩約3分 都営大江戸線「春日駅」より徒歩約6分
・鹿島アントラーズ(Jリーグ) カシマスタジアム JR鹿島サッカースタジアム駅より徒歩約2分
・川崎フロンターレ(Jリーグ) 等々力球技場 東急東横線「新丸子」駅から徒歩約20分(シャトルバス運行あり)

IBM BIG BLUE vs ノジマ相模原ライズ

聖地となるスタジアムの建設

石井光暢GMは、なによりもスタジアムの重要性を説く。陸上などとの併用競技場ではなく、フットボール専用の魅力あるスタジアムが欲しい。これは日本アメフト界の悲願でもある。もちろん、チーム単独で持つということではなく、リーグ全体で自治体と意見交換をして、市民が有効活用できるスタジアムを作る。そうすれば、運営をパターン化し収益化できると考えている。


勝敗という不確実要素に左右されるスポーツは、決して大成することはない。優勝するひとつのチームだけを応援するのではなく、アメリカンフットボールという競技自体に夢中になってもらうこと。スタジアムはそんな人たちを受け入れるために、魅力あるもの、そして楽しめる場所であるべきなのだ。そこでしか生まれない連帯感こそがファンを生み、アメリカンフットボールをビジネスコンテンツとして成長させてくれる。

ハード面の問題を解決するためには、資金面だけでなく、果てしなく大きな壁が立ちはだかる。

日本アメリカンフットボール協会は、競技内容を世界と比較する以前に、まずは日本の最高峰に位置するXリーグの運営面で結果を残すことが求められている。

To Be Continued

次回は、「#003 誰がためのリーグ」