ビルドアップ投資 Case 2.BLANC(地方創生) 京極淳・松本勇二
潜在的に有望な産業にフォーカスをあて、纏まった成長資金とノウハウを提供し、事業規模を一気に拡大させるBuild Up投資。その分野における代表的な企業を創出する方法は、「脱炭素」「地方創生」では、どのようなアプローチが必要なのか。そこから見えてくる未来像とは。
自然と共生し、新しい体験とともに日本の観光資源の価値創造を進めるBLANC。代表取締役の山中拓也が夢見る、自然保護と活用が両立できる地域づくり。同社の事業展開を支援するにあたって構築されてきた緻密なアプローチとは。
松本勇二:まず、日本社会が抱える大きな課題「地方創生」に着眼。その第一号案件として、2023年12月、自然共生型ラグジュアリーホテルを展開する株式会社BLANCに対し、約15億円の増資を引き受けました。観光インフラの拡充は大きな成長ポテンシャルと意義があり、BLANC社および山中社長が掲げるミッションに深く共感したのが始まりです。PODキャピタルが地方創生分野に参画するのは、日本の顕著な観光ポテンシャルを充分に活用し、パンデミックで減速した国内・海外からの地方観光需要を再構築するため。まずホテルを活性化させることができれば、地方経済の核となる産業の強化につながり、持続可能な社会を創り上げていくことができます。
京極淳:BLANCは、その独自の設計思想により小規模高付加価値ホテルをスピーディーに開発する能力を有しています。売上高3億円未満のアーリーステージにありながらも、業界を牽引する主要プレイヤーへと飛躍する可能性を秘めていることは大きな魅力。PODキャピタルは資金提供に留まらず、経営管理、体制強化、マーケティング戦略の面で積極的に同社をサポートしていきます。競争優位性を存分に発揮させ、事業の全国展開と業界トップランナー達成を力強く後押しすることが、地方を元気づける源となっていくはずです。
松本勇二:PODキャピタルは、本件のためのファンドを組成。台湾・香港・韓国など含む投資家グループが参画し、グローバルな視点を取り込み世の中の変化やニーズを俯瞰していきます。沖縄県宮古島市島最南端にあるヴィラ型グランピングリゾート「RuGu Glamping Resort」をはじめ、山梨県富士吉田市に、自然共生型ホテル「BLANC FUJI」を開業してきました。今後は年間3拠点のホテル施設を作ることを計画。地方創生は現代に不可欠な事業領域です。まだまだ発展途上にある日本のマーケットにバリューチェーンを構築し、新たな方程式のもと産業の安定化を図っていきます。
株式会社BLANC:「MX(Mobile Transformation)を通じてサスティナブルな社会をつくる」をミッションに、建てる、壊すといった従来のホテル建築の在り方を抜本から見直し、移動可能な客室をトレーラーハウスとして活用。自社開発することで、新しい宿泊体験を提供する会社。
地方創生:日本各地には美しい自然が数多く存在している一方、さまざまな規制によりその多くは活用されていないのが現状。コロナ禍を経て空前のインバウンド需要があるいまだからこそ、世界に対し自然保護と活用を両立できる地域づくりをアピールしていく必要がある。
Profile
京極淳/Atsushi Kyogoku Partner, ESG Investing Managing Partner / 代表取締役、POD Capital, Inc.
Previously, he worked in the corporate sales division at Sompo Japan.
Previously, he worked at Asset Management Division of Goldman Sachs Japan Co., Ltd., responsible for growth and buyout investments in Japan. He served as external board director of Japan Renewable Energy Corporation, Smart Energy Co., Ltd., and ILS Inc.
Prior to Goldman Sachs, he worked at McKinsey Japan for three years after graduating from the University of Tokyo with a BA in Laws.
Atsushi loves fishing and drinking, while he more often goes for a run to maintain his shape.