脱炭素へのアプローチ 大串卓也
課題解決に向けた地球規模のビジネス構築。そこから見えてくる大串卓矢の無垢で純粋な夢。
幼い頃から、環境とくに地球温暖化問題に対して大変興味を持っていました。
スマートエナジーを創業したのは、地球が抱える課題に対して、長期で活動していくためです。環境問題は、個人やボランティアベースではなく、組織を作りビジネスとして取り組んでいく必要があります。なぜなら、社会において「環境をよくする」という行為に対し、誰がお金を払うべきなのかは非常に曖昧だからです。いいことをしたから利益を得られる、ということに直線的に結びつかない。
地球温暖化は、10年や20年で解決する問題ではありません。気の遠くなるような膨大な時間を要します。スマートエナジーとしては、自社の利益だけを追い求めるのではなく、地球規模での産業化を考え、脱炭素社会の実現に向けて足並みを揃えていくことが大切だと思っています。
人は社会から恩恵を受けて、さまざまな経験を積んでいきます。その能力をどうやって還元するのか。ただ自分のためにと考えるのではなく、属しているコミュニティや国など、興味の対象を広げていくことで、日常的に身の回りで起こる問題に意識が向かっていきます。
私はこの先も「脱炭素」の道から、外れることはないと思います。ただ時代によって社会がどう変わっていくのか、それによってスマートエナジーも自身もマイナーチェンジはしていくと思います。省エネをするだけでなく、電気自動車に乗る、化石燃料を使うことが恥ずかしいと思う感覚が身についてきている。社会が徐々に成熟している証です。
だからこそ、ここからはビジネスの力で具体的な産業を創り上げていく。再エネ企業は、いまある姿が10年後には大きく変わっていても、なんら不思議ではありません。社会が求めることに応じて進化することは必然です。まずは一企業として、地道な活動を行うこと。
小さな志が脱炭素社会の実現に結びついていくと信じて、これからも歩を進めていきます。
脱炭素:2020年10月、菅総理(当時)の所信表明で「2050年までのゼロカーボン」が政府方針とされた。日本の気候変動に対する消極的な姿勢は、世界から多くのバッシングを受けてきた。脱炭素社会へのトランディションを安定的かつ、スピード感をもって実現していくことは、大きな社会課題となっている。
Profile
大串卓矢/Takuya Ogushi Smart Energy Co.,Ltd. 代表取締役社長
子どもの頃より環境問題に興味を持ち、地球温暖化防止をテーマとして働くことを決意。2007年「脱炭素をビジネスのチカラで」をコンセプトにスマートエナジー社を設立。経済産業省国内Jクレジット制度発起委員会事務局長、公認会計士協会排出量取引専門部会長を歴任し、CO2クレジット制度の立ち上げに寄与。気候変動問題に技術・金融・ITの知力を使い、ビジネスで解決する手法を探求している。