Unicorn Athlete 002 Honoka Jinzai

WEARING BRAND:BALMAIN / PHOTO:JUNJI HATA / VIDEO:ROBIN FURUYA / HAIR & MAKE:HIROKI Yoshimori

2023.01.13 Fri

競技に⼈⽣や⻘春を賭けている選⼿たちが、社会から多くのサポートを得られるような「⽂化」を育てていきたい。そういった観点から個にフォーカスをあてる「ユニコーン・アスリート」。
社会人や学生と両立させながら活動するアスリート。マイナースポーツを世に広めようと頑張るアスリート。さまざまな背景や魅⼒を持つ彼らをファッションストーリーでヒモ解いていく。

第2回目は、マルチアスリートとして活躍の場を広げる陣在ほのか。

「DSQUARED2」を着て駆け出していく。

小さい頃はひたすら兄の背中を追いかけていた。3歳から補助輪なしの自転車でずっとくっついていく。とにかく活発な子だった。小学生のときはサッカーをやって、中学では陸上部。そこからは毎日走ってない自分を想像できないっていうぐらい、ずっと陸上中心の生活をしていた。

年代によって練習のメニューには変化があるし、練習相手も違う。頑張りすぎて疲労骨折したり、ストレスで大腸炎になったり、そういうことが続いて大学ではなかなか結果が残せなかった。そして最終学年ではコロナが流行して、区切りの引退レースができず、やりきれない自分がいた。何でもいいから私自身がもういちど輝ける場所に行きたい。そんな時にスパルタンレースと出会った。

まだまだ頑張りたい気持ちがある。こう思えるのは、アスリートとしてものすごく嬉しいこと。いまはスパルタンレース以外にも、やったことがない競技にも挑戦している。トレイルレースや階段を駆け上るバーティカルランニング。これからはバイクとかボートを漕ぐような、走っていない姿も見せていきたい。だからいまの肩書きは「マルチアスリート」。

スパルタンもバーティカルもまだマイナーな競技。1年間、スパルタンレースだけに集中したけど、全然人に見てもらえなかった。インスタのジャパン公式アカウントには、1.5万人ぐらいのフォロワーしかいない。だったら自分が有名になって「こんな競技もあるんだ」と知ってもらった方が早いと思い始めた。山を走れば山で応援してくれる人もいるし、クロスフィットを応援してくれる人もいる。いろいろなファン層を増やしていく、これがマルチアスリートのイメージ。

SNSは世界中と繋がれる。だから言葉がなくてもトレーニングの様子を見たらわかってもらえることも多い。陸上で専門競技だった800メートル走は、最初から最後までずっとキツいけど、ラストの200、100で前に出て勝った時は最高に楽しい。大学時代に練習しては泣いての繰り返しで、走れなくなった時期に比べると、いまの状況はなんてことない。だから、いまは自分ができることを発信していく。SNSを通じて社会に対してのスタンスと、いまの立ち位置を知ってもらいたい。

将来的な夢は、子どもたちにスポーツを教えること。教員免許は持っているけど、ほかにもアプローチがあるはずと考えている。いまの時代、アスリートはただ競技がうまくて勝つだけじゃなく、社会貢献も求められている。まだ頑張れる自分がいるので、まずはいろんな経験をして、それを子どもたちに伝えていきたい。それがマルチアスリートとしての社会貢献の第一歩かな。私自身、中学生のときクラブチームのコーチに競技人生を変えてもらったように、そういうきっかけを与えられる人物になれればいい。

陸上は数字が出るスポーツ。でも人生はそうではない。いまは記録の更新よりもその時々のマインドに重きをおきたい。人生を800メートル走に例えた場合、いまはまだトラックの１周目。ラストの100mまで勝敗はわからないけど、途中で諦めるか諦めないか、自分に勝つか勝たないかで、将来大きな差になって跳ね返ってくると思う。

最終第4コーナーはまだ先。スパートをかけるには少し早いから、いまは地に足をつけてマルチアスリートとして頑張っていきたい。

だからみなさんにお願い。

面白い競技があれば、SNSを通じて教えてください。なんでもやってみるタイプなので。